アンダルシア出身の映画監督レメディオス・マルバレスが贈る『ファンダンゴ』は、フラメンコの中でも最も古く、本質的なスタイルの一つであるファンダンゴの歴史、魂、そして未来を描いた音楽ドキュメンタリーです。ウエルバのぺーニャ(フラメンコ愛好会)から国際映画祭まで、この作品はファンダンゴを生きた文化的アイデンティティとして可視化します。
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時を超えたファンダンゴの旅
第50回ウエルバ・イベロアメリカ映画祭で観客賞とアンダルシア最優秀監督賞(フアン・ラモン・ヒメネス賞)を受賞した『ファンダンゴ』は、現代フラメンコ・ドキュメンタリーの中でも特に注目される作品です。レメディオス・マルバレスとアルトゥーロ・アンドゥハルが監督を務め、脚本はマルバレスとミゲル・アンヘル・パラによるもの。ファンダンゴの起源から現在、そして未来へと続く感情的・文化的地図を描いています。
フラメンコの核、ウエルバ
これまでフラメンコの中で軽視されがちだったファンダンゴが、本作では主役として取り上げられます。その音楽的な豊かさ、大衆的な遺産、そして何世代にもわたるアーティストへの影響力が浮き彫りになります。ライブ演奏、日常のシーン、アーティストとの対話を通じて、ファンダンゴというスタイルの生きた姿が描かれています。
高い映像・音響美学
本作はモノクロの17:9フォーマットで撮影され、抑制された美的表現によりカンテ(歌)、トケ(ギター)、バイレ(踊り)の力強さを際立たせます。映像の30%以上はライブ音楽シーンで構成され、ロシオ・マルケス、アルカンヘル、アルヘンティーナ、ジェロモ・セグーラ、クリスティアン・デ・モレ、ラファエル・エステベスらが登場します。
女性と記憶に焦点を当てた視点
このドキュメンタリーの特筆すべき点のひとつは、ジェンダー視点の導入です。歴史的にも現代においても、ファンダンゴの保存と進化において果たしてきた女性の役割が繊細かつ深く描かれています。マルバレスは、女性たちが中心的役割を担ってきた空間や声を可視化します。
レメディオス・マルバレス監督インタビュー(近日公開)
本作の背景やファンダンゴの未来について伺うため、ALL FLAMENCOでは監督への独占インタビューを依頼しています。近日中に本ブログでご覧いただけます。
ALL FLAMENCOでのおすすめ作品
マルバレス監督のドキュメンタリー世界をさらに楽しみたい方に、ALL FLAMENCOで視聴可能な以下の3作品をおすすめします:
- 『メネセ』(2019):歌手ホセ・メネセの芸術と闘いを描く作品。
- 『アララ』(2016):セビリアのスラム街「トレス・ミル・ビビエンダス」でのフラメンコと教育の物語。
- 『シレンシオ』(2022):創造の場としての「沈黙」を描いた親密な作品。